窓の外では

下校中の中学生たちの声がする。

いいねー。若いねー。

楽しそうだなー。元気だなー。



あの頃に戻りたい気がする。

きっと、楽しかったんだろうな。

昔の記憶があんまりないけど、あの頃はあの頃で必死だったもんね。

毎日がいろいろあってさ。

悩みもたくさんあってさ。

それでも何か活き活きしててさ。



どうして記憶は薄れていくんだろう。

すぐ前のことでも確かには覚えていない。

不思議だね。

あんなにいろいろあって、あんなにいろいろ考えてたのに。

きっと、今日のことも、もうちょっと先の未来には曖昧になってるんだろうな。

こんなに必死なのにね。

不思議だ。



大家さんの家の横には、息子さん家族の家が建設中。

マンションが出来たと思ったら、今度は一軒家。

しばらく工事の音は消えることはないだろう。

嫌いじゃないよ。

働いてる音って、何だか落ち着く。

まだしばらくはこの音が聞けるんだろうな。

あの家が出来る頃には、また少し成長しているかな。



最近、最後の膿み出しでしんどい。

久しぶりの長期戦だ。

少し楽になるといいんだけど、先生はまだ続くって言ってたもんな。

母さんも疲れてるみたいで心配。

私がもうちょっと元気だったら、こんなに迷惑かけないのに…

そう思うと涙が出てきちゃうよ。



今日は、久しぶりの留守番。

母さんは実家へ用事をしに。

「泊まっておいで」

とは言ったけど、本当は、帰ってきて欲しい。

一人でいる自信がない。

だけど、自分が実家に帰ることを考えると、とてもドキドキして無理。

不安なんだ。

こないだも失敗したから。

行って、すぐ引きかえすなんて、母さんにとってはもっとしんどい。

だから、今日は留守番。

ずっと寝てて、変な夢見て、しかもあんなことがあったからね。

なんだか怖いよ。

外はまだ明るいけれど、もうすぐ１７時なんだね。

日が長くなったね。

今日の夜はどうなるのかな。。。

どっちに転んでも、頑張ろう。

きっともうすぐ楽になれるよ。

そう信じるしかないよね。