軽いと言われたけれど

それは、

６年前の私を知らないからだと思う。




最初、３カ月休んだら、仕事復帰できると言われた。

あの頃、

毎朝のように通勤途中や、仕事場で過呼吸発作を起こし、

バレないように保健室で薬を飲んで１時間は発作と戦っていた。

うつも次第に酷くなり、

朝６時に目が覚めても動けず、

次第に遅刻するようになり、

最後には午後出勤にしてもらい、

１２時過ぎにやっと動けるように持っていくので精一杯だった。



それでも、

利用者さんが好きで、

仕事も好きで、頑張った。

それができなくなったあの日から、

張り詰めていた糸がプツンと切れたかのように、

今まで支えていたものが全て崩れ去り、

何もできなくなった。




自分を傷つけ、

言葉で他人を傷つけ、

力で物を破壊し、

テレビも新聞も何もかも見れず、

見ると調子を悪くし、

メールも電話も出来ず、

人と会うことも出来ず、

ただ一日、

泣いては喚き、罵り、責めて、

生きている意味を見失い、

死を選ぼうとしていた。





それでも、

６年かかってようやくここまでこれた。

今は確かに見た目は軽いかもしれない。

あのころとは比較的にならないほど、

色んな事ができるようになった。

心も大分穏やかになってきた。




それでも、

私は自分を軽いとは思わない。

軽いなら、

もうとっくに働けているはずだ。



先生が言った、

３か月の休養で。




３か月経っても、

前より酷くなるばかり、

６か月経っても、９カ月経っても、

前より酷くなるばかり。

そして、退職。




どうして、軽いなんて言えるのだろう。

軽かったら、

復帰して、

今頃働いていてもいいじゃないか。




慰めて言ってくれた言葉だとはわかっている。

今の私よりも、酷い状態の人が沢山いることも、わかっている。

だけど、

昔の私だって、酷かったんだ。

どうして、

軽いと言えよう。

どうして、

軽いなんて言えるのだ。



悲しい。

そういう風にしか受け取れない自分が情けない。

もう

心もどこかでひねくれて、

すべて信じれなくなってきている。

みんなが

気を使って言ってくれているのだと、

その裏の本心が気になって、

与えてもらえる言葉を正直に受け取れない。

そんな自分が嫌だ。




あの頃に戻りたい。

元気だった、あの頃に。