魔法をかけて

外へ飛び出す。

魔法をかけて。

コスメという名の、魔法をかけて。



外へ飛び出す。

仮面をつけて。

コスメという名の、仮面をつけて。



それは儀式。

それは勇気。

それは希望。

それは味方。



外へ飛び出すために、背中を押してくれる。

外へ飛び出すために、心の準備をしてくれる。

外へ飛び出すために、私を変えてくれる。



この歳になって、今になって、コスメというものに頼るようになったのは、

そんな心の叫び声だったのではないだろうか。

コスメに目覚めて、コスメに助けられて、そして心を守ってもらいながら、外に行く。

そんな日々が始まったのは、確かにここ最近だ。

今までは、余裕がなかったのか、なくても平気だったのか。

今では、無いと出かけられない。そこまで気持ちが奮い立たない。



…うん。やっぱりひとつの儀式なんだろう。

時間をかけて、ゆっくりと、ゆっくりと、心を外の世界へ向けていく。

外の世界を歩いている自分を想像しながら、化粧をしていく。

そして私は飛び出すんだ。

外に向かって、飛び出すんだ。

だから、嬉しいよ。

だから、楽しいよ。

だって、私は外に出られるんだから。